音楽を使った健康法ボディリズムとは? その1
2010年6月10日青木塾(異業種交流研究会)での講演から:ジェトロ会館(東京)
ボディリズムとは、簡単に「音楽を使った健康法」と言っていますが、実は、ボディリズムにはもっと深い考え方があります。今回は、この音楽を使った健康というメソッド=ボディリズムの考え方についてご紹介します。
きっかけは体調不良から・・・
大学を出てから、アメリカの音楽大学で作曲、編曲、サクソフォンなどの勉強をして、音楽の世界に入りました。それから、ずっとその世界でやってきましたが、実は、私が元々もっている心臓弁膜症という障害の他に、糖尿病になったり、メタボになったり・・。夜も不規則だし、お酒も好きだし・・などいろいろありまして、10年ほど前に身体をちょっと崩したんですね。それで、このままではまずいと思い、身体を動かして、ヘルシーになろうと考えましたが、身体を動かすことが苦しかったんです。その当時は、サクソフォンの練習も疲れるからいやだと思い、フィジカルな面が少ない作曲などばかり行っていました。ただ、この状況を克服しなければと思った時に、気づいたことが2つありました。
『腹式呼吸』を1日24時間やれば
まず、サックスを吹くときにやっている『腹式呼吸』を1日24時間やればだいぶ違うのではないかということ。
そのとき気づいたのは、演奏している時は腹式呼吸でしたが、サックスをしまって、次に取り出すときまでは、呼吸に関して全く意識しておらず、なすがままに任せていました。だから、それをもっと深い呼吸にしたら違うのではないかということです。
実際に腹式呼吸をやって、その効果に驚きました。私は心臓弁膜症で走るのがだめだったのですが、走ったり、汗をかいたりしないとヘルシーな身体が戻ってこないということはわかっていました。それで、腹式呼吸でジョギングしたところ、それまでグランド1周走ったら途中で止まって、疲れてやめようとなっていたのが、グランド10周してもまだ体力が残っていたんです。そのときに腹式呼吸は、ものすごいパワーのある呼吸法だということに気づきました。
音楽を使った健康法ボディリズムとは? その2
自分のリズムを作る
二つ目は、こちらの方が大きい要素があるんですが、『自分のリズムを作る』ことです。
今、このジェトロ会館の部屋に皆さんがいて、私が話をしています。この空気・・・、私が吐く息、吸う息。みなさんが吐く息、吸う息。それから、この「間」がもっている雰囲気。私が話している時にもっている雰囲気。みなさんが漠然ともっている雰囲気があります。それと、それぞれ人間ですから、それぞれの身体の細胞が生きているわけで、それが気を出している。私は、これを「リズム」だと思ったんです。
というのも、全てのもの、人間の細胞もそうだし、物質の原子のレベルまでいくと、そこは全てエネルギーをもった振動体なわけです。人間は60兆の細胞があって、単細胞生物がいる。ということは、私は60兆の細胞を管理している宮浦という人間としての一つの集合体なわけです。そうすると、全ての大自然というのはリズムなんだということに気づいたんです。
音楽をここまでやってきても音楽をやっているときはリズムのことを考えていましたが、音楽から離れたときにリズムのことは、ほとんど考えてきませんでした。
他人のリズムを受け入れる
「リズムにのる」ということは、「自分の中でリズムを作る」ということ。そうすると何が起きるかというと、自分のリズムが生まれたときに、はじめて他人のリズムが見えてくるわけです。なぜかというと、自分のリズムができたからこそ、それを消して、他人のリズムを受け入れられるようになるからです。
自分のリズムがない人は、他人のリズムが押し寄せてくると、自分が引きずり込まれないように拒否します。自分のリズムを持っている人、もっと簡単にいうと、自分のペースを持っている人は他人のペースを受け入れることができるようになる。それは何からできるかというと、リズムを意識することから始まります。
私は「自分はリズムの中に生きている」と考えたときに、全てが開け、それと同時にフィジカルな部分では、人間は元々ものすごいパワーをもっていた。そのパワーというのは、生まれながらにしてたまたまできてしまう「呼吸」。この呼吸に質があるということを自分の身体の体験をもって感じ、このボディリズムという考え方が生まれました。
音楽を使った健康法ボディリズムとは? その3
音楽は手段として生活に溶け込む
音楽は目的だけではなくて、手段なんです。ですから、私が取り組んでいるのが、音楽を手段として健康になるということですが、他に勉強の集中力をあげる、リラックスする、スポーツの能力を上げるといったことを考えています。
ボディリズムというのは、音楽の新しい生かし方が根本にありますが、これを人に伝えるのにすごく苦労しました。一番わかりやすいのは、音楽で健康になることを伝えるべきなのではないかということで、今はボディリズムについて聞かれたら、『音楽健康法です』というようになりました。その背景に、呼吸とリズム、それと身体を動かす(=浸透させる)ということがあるわけです。